「企業看護師に転職して後悔しない?」転職活動をしていたとき、私が一番知りたかったのはそこでした。ネットに出てくる情報は綺麗なことばかりで、本音の部分がなかなか見えなかった。
転職して1年以上経った今、良かったことも、思っていたのと違ったことも、正直に書きます。
企業看護師のメリット【5つ】
① 夜勤がない(またはほぼない)
これが一番大きかったです。私は月6回の夜勤をしていたので、「昨日ちゃんと寝た状態で朝起きる」という当たり前のことがどれだけ大切か、転職してから改めて気づきました。
夜勤がなくなったことで:
- 子どもの朝ごはんを毎日一緒に食べられる
- 週末の疲労感がなくなった
- 「夜勤明けで子どもの顔をまともに見られない」がなくなった
- 生活リズムが安定して、体調が整ってきた
夜勤手当がなくなる分、収入への影響はあります(後述)。でも「健康でいられること」の価値は、手当以上だと個人的には感じています。
② 残業が少ない・定時で帰れる
病棟時代は月20〜40時間の残業が普通でした(しかも多くがサービス残業)。今は月5〜10時間程度。基本的に定時で帰れます。
最初は17時15分に席を立つことに罪悪感がありました。「もっとやることあるんじゃないか」って。でも、企業では「定時に帰る=普通のこと」で、残業する方が「効率悪いのかな」と思われる文化でした。意識の転換が必要でしたが、今はすっかり慣れました。笑
③ 精神的なプレッシャーが段違いに減った
病棟にいたとき、「急変したら」「インシデントを出したら」という緊張感が常にありました。それが10年続いていたので、自分でも気づかないうちに相当ストレスを抱えていたんだと思います。
企業では、来室した社員が「すぐに死ぬかもしれない」という場面はほぼありません。もちろんゼロではないですが、「命に直結する判断を毎日する」というのとは全然違います。
転職して半年くらいで、自分が「ずっと緊張していた」ことに気づきました。肩の力が抜けたというか、普通の仕事をしている感覚になりました。
④ 子育て・プライベートと両立しやすい
保育園のお迎えに間に合う。運動会に参加できる。子どもが熱を出したとき、「今日夜勤なんだけど…」と悩まなくていい。
これだけで転職して良かったと思えます。「仕事か家族か」の二択を迫られる瞬間がなくなっただけで、生活の質が全然違います。
⑤ 「看護師」以外のスキルが育つ
企業では、文書を作る・プレゼンする・データをまとめる・他部署と調整するなど、臨床ではあまり求められなかったスキルが必要になります。最初は戸惑いましたが、「ビジネスパーソンとしての自分」が育っていく感覚があって、これはこれで楽しいです。
企業看護師のデメリット【5つ】
① 給与が下がる可能性がある
夜勤手当・残業代がなくなるため、年収ベースで下がるケースがあります。特に病棟で夜勤を多くこなしていた人ほど差が出やすい。
私の場合は大手企業に転職できたので変わりませんでしたが、中小企業への転職だと年収が50〜100万円下がることも珍しくありません。
転職前に「夜勤手当込みでいくら稼いでいるか」を計算して、転職後の年収と比較しておくことをおすすめします。
② 臨床スキルが落ちる
処置・点滴・急変対応などの臨床スキルは、使わなければ落ちていきます。「もし病棟に戻ることになったら」と考えると、不安になることもあります。
ただ、「観察する・聞く・判断する・記録する・連携する」という看護の基本的な力は、企業でも十分に活かされます。スキルの種類が変わるイメージです。
③ 孤独を感じることがある
看護師が1〜2名体制の職場が多く、「看護師仲間」がいません。臨床のように同僚と愚痴を言い合ったり、技術的なことを相談したりする相手がいない寂しさは、転職してしばらく感じました。
産業看護師の勉強会やオンラインコミュニティに参加することで、かなり解消されました。同じ環境で働く人とつながることが大事だと思います。
④ 求人が少ない・競争率が高い
臨床に比べて企業看護師の求人は圧倒的に少ないです。欠員が出たときだけ募集されることが多く、タイミングが合わないと何ヶ月も待つことになります。
私は転職活動を始めてから採用されるまで約4ヶ月かかりました。焦らず継続して探すことが必要です。
⑤ 「自分で仕事を作る」必要がある
来室者がゼロの日は、自分でやることを見つけなければなりません。病棟のように「次の患者さんのケアをして」という流れがなく、主体的に動く力が求められます。
これをストレスに感じる人もいれば、やりがいに感じる人もいます。私は最初は戸惑いましたが、今は「今月はこの教育資料を整備しよう」「この業務フローを改善しよう」と自分でテーマを決めて動けるのが楽しくなってきました。
メリット・デメリットをまとめて比較
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 夜勤なし | 給与が下がる可能性 |
| 残業が少ない・定時退勤 | 臨床スキルが落ちる |
| 精神的プレッシャーが減る | 孤独感がある |
| 子育て・プライベートと両立 | 求人が少ない |
| ビジネスパーソンとしての成長 | 自分で仕事を作る必要がある |
こんな人に向いている・向いていない
企業看護師に向いている人
- 夜勤をやめたい・減らしたい
- 子育て中・これから育児を考えている
- 体力的・精神的に臨床が限界になってきた
- 一人で考えて主体的に動くのが好き
- コミュニケーション・調整・文書作成が得意
企業看護師に向いていない人
- 臨床スキルを磨き続けたい
- チームで動くナーシングが好き
- 急変対応・処置の手応えにやりがいを感じる
- 収入を下げたくない(夜勤手当で稼いでいる)
- 看護師同士で毎日関わりたい
まとめ
企業看護師に転職して、私は後悔していません。でも「全員に合う働き方」ではないことも正直に思っています。
「今の自分に何が必要か」「5年後どんな生活をしていたいか」を考えたとき、企業看護師という選択肢が一つの答えになるかどうか、この記事が判断の材料になれば嬉しいです。
転職して1年後の本音
転職直後は「これで良かったのかな」という不安もありました。臨床スキルが落ちていく感覚、看護師仲間と話す機会が減った寂しさ、「一人でちゃんとやれているのか」という自信のなさ。
でも1年経った今、後悔はしていません。子どもの顔を見ながら夕食を作れること。週末に疲れ果てて寝込まなくなったこと。「今日も一日終わった」と思えること。それだけで、十分だと思っています。
「夜勤手当がなくなった分、稼ぎが減った」と言われれば確かにそう。でも「お金で買えない時間」を取り戻した感覚の方が大きいです。
よくある不安に正直に答えます
「企業で浮かないか不安」
最初は「看護師がここにいていいの?」という感覚がありました。でも社員の方は健康管理室の存在をとても頼りにしてくれています。「体調が悪いとき来ていいんだ」と思ってもらえれば、それだけで存在意義になります。焦らなくていいです。
「産業保健、難しそうで勉強が追いつかない」
産業保健総合支援センターの無料研修や、日本産業衛生学会の資料を使えば体系的に学べます。全部わかってから始めようとしなくて大丈夫。仕事しながら覚えていくことがほとんどです。私も最初はわからないことだらけでした。
「転職後に後悔したらどうしよう」
後悔する可能性はゼロではありません。でも「後悔しないための完璧な選択」を探し続けると、一生動けません。「今の自分に合っているか」を基準に動いてみることをおすすめします。合わなければまた考えればいい。看護師免許がある限り、選択肢はあります。
この記事のまとめ
企業看護師のメリット・デメリットについて、経験者の本音をお伝えしました。最後にポイントを整理します。
✅ 企業看護師に向いている人チェックリスト
- 夜勤をなくして生活リズムを整えたい
- 子育てや介護と仕事を両立したい
- 残業が少ない職場で働きたい
- 精神的なプレッシャーを減らしたい
- 自分のペースで働ける環境を求めている
- 臨床スキルより働きやすさを優先したい時期
⚠️ 転職前に確認すべきポイント
- 給与は現在より下がる可能性がある(数万円程度)
- 産業保健の勉強は自発的にする必要がある
- 看護師1人体制の職場では相談相手がいない
- 臨床に戻る選択肢を残しておくか考えておく
- 「ゆるい」と感じて物足りなくなる人もいる
企業看護師は「楽な仕事」ではなく、「別の種類の仕事」です。向いているかどうかは、今の自分が何を優先したいかによって変わります。焦らず、自分の状況と照らし合わせて考えてみてください。
