企業看護師のリアル

企業看護師の1日のスケジュール・仕事内容をぶっちゃけ【工場勤務の場合】

「企業看護師って一日何してるの?」転職前の私もそれが全然イメージできなかったひとりです。病棟ナースには分刻みのスケジュールがあって、あれだけ忙しいのが当たり前だったから、「会社員として働く看護師」って何してるんだろう…って不思議だった。

転職して1年以上経った今、実際の1日をそのままお伝えします。美化なし、サービス残業なし、夜勤なし。これが私のリアルです。

まず、私の勤務先について

勤務先:大手製造業メーカー(従業員2,000名規模)
部署:健康管理室(看護師2名体制)
勤務時間:8:30〜17:15(休憩60分)
夜勤:なし
残業:月平均5〜10時間程度

2名体制なので、もう1人の看護師さんと交代でお昼を取ったり、急な体調不良対応が重なったときもカバーし合えます。1人体制の職場より安心感があります。

1日のタイムスケジュール(詳細版)

8:30 出勤・開室準備

健康管理室を開けて、メールをチェックします。前日の夜や朝イチで「体調が悪い」「相談したい」という連絡が来ていることがあるので、まずそこから確認。消耗品の補充や室内の整備もこのタイミングでやっています。

病棟みたいに「申し送り」はないし、「前の日の夜に何かあったか」を引き継ぐ緊張感もない。その静けさに最初はちょっと戸惑いました。笑

9:00〜11:00 来室対応・体調不良者の対応

社員が体調不良で来室します。頭痛・腹痛・めまい・過呼吸・軽いケガなど様々です。対応の流れはだいたいこんな感じ:

  • バイタルを測定(血圧・体温・SpO2など)
  • 問診(いつから・どんな症状・既往歴の確認)
  • 産業医に連絡して指示をもらう
  • 休憩室で休ませる / 帰宅を勧める / 受診を勧める
  • 記録をつける

病棟のように「処置して、点滴刺して、急変対応して」という流れはほぼありません。看護師として「判断して記録する」仕事が中心です。

来室が多い時間帯は朝イチと昼前。「なんとなく気分が悪い」「昨日から熱っぽい」という社員が多いです。繁忙期(決算期・異動シーズン)はメンタル不調の相談も増えます。

10:00〜12:00 健康診断の事後フォロー

企業看護師のメイン業務のひとつが「健診後のフォロー」です。健康診断の結果を確認して、再検査・精密検査が必要な社員に案内状を送ったり、産業医との面談をセッティングしたりします。

具体的にやること:

  • 要再検査・要精密検査の社員リストアップ
  • 個別案内状の作成・送付
  • 受診確認(受けたかどうかのフォローアップ)
  • 結果が届いたら産業医に報告
  • 就業判定が必要な場合は面談調整

健診の時期(春〜夏)は特にこの業務が集中します。逆に健診シーズン以外は比較的ゆったりしています。

12:00〜13:00 昼休み

1時間きっちり休めます。

これが病棟と一番違うところかもしれません。病棟のときは「休憩15分取れたらマシ」な日もありました。でも今は12時になったらお弁当を食べて、ちょっと散歩して、13時に戻る、という当たり前のことが当たり前にできます。

最初の頃は「こんなにゆっくりしていいのか…」って罪悪感がありました。笑 でも1年経った今は完全に慣れました。

13:00〜14:00 産業医との定期ミーティング・書類作成

週1〜月1のペースで産業医の先生との定期ミーティングがあります。前週の来室状況の共有、メンタル不調者のフォロー状況の報告、健診フォローの進捗などを話します。

産業医との関係づくりが企業看護師には大事です。「相談しやすい関係」を作れると、グレーゾーンの判断を一緒に考えてもらえるので安心感が全然違います。

14:00〜15:00 職場巡視

月1回以上、産業医と一緒に職場を巡視します。作業環境・照明・換気・騒音・姿勢などをチェックして、問題があれば職場管理者にフィードバックします。

工場の製造ライン、オフィスフロア、倉庫など、普段入れない場所も巡視します。社員の顔を覚えてもらえるので、後から「ちょっと相談いいですか」と来室してくれるきっかけにもなります。

15:00〜16:00 メンタル不調の社員との面談

長期休職からの復職支援、ストレスチェックの高ストレス者フォロー、上司からの「最近元気がない」という紹介など、さまざまな形で面談があります。

臨床と違うのは「治す」のではなく「話を聞いて、必要なリソースにつなぐ」のが仕事だということ。病棟で培った傾聴力・観察力がとても活きる場面です。

16:00〜17:15 記録・報告書作成・翌日準備

その日の来室者の記録、産業医への報告書、健診フォローの進捗記録などをまとめます。月次レポートの作成も担当しているので、月末はここが少し忙しくなります。

17:15に退勤。残業がある日は最大でも19時くらいまで。「終電を気にして仕事する」ことがなくなりました。

来室者がゼロの日もある

正直に言います。1日誰も来ない日もあります。

最初はそれが不安でした。「何かしなきゃ」「役に立ててるのかな」って。でも、来室者がいない日は別の業務(書類整理・研修資料の作成・法改正のキャッチアップなど)をする時間に充てています。

病棟と違って「仕事を作る」必要がある場面もありますが、そのぶん自分のペースで仕事できるのは大きなメリットです。

病棟の1日と比べると?

病棟時代(内科病棟・夜勤あり)と比較してみます。

項目病棟(臨床)企業看護師
勤務時間日勤・夜勤あり(変則)固定(8:30〜17:15)
休憩取れないことも多い1時間確保
急変対応日常的にありほぼなし
残業月20〜40時間月5〜10時間
精神的プレッシャー高い(命に直結)相対的に低い
体力消耗大きい小さい
達成感の種類患者の回復・退院社員の健康維持・信頼関係

どちらが「いい仕事か」ではなく、自分の今の状況・優先したいことに合わせて選べばいいと思っています。私には今の働き方が合っていました。

企業看護師の1日でよく誤解されること

「楽すぎてスキルが落ちるのでは?」

臨床スキル(処置・点滴など)は確かに落ちます。でも「観察する・聞く・判断する・記録する・連携する」という看護の基本的な力はむしろ磨かれます。コミュニケーションや調整力が問われる場面が多いです。

「一人で抱え込まないの?」

産業医・人事担当・管理職・EAP(外部相談窓口)など、連携先がたくさんあります。「一人で判断しなきゃ」という重さは、産業医との信頼関係を作ることで軽くなります。

まとめ

企業看護師の1日は、病棟に比べると「静か」で「整っています」。緊急対応に追われることなく、計画的に仕事を進められます。

「夜勤をなくしたい」「子育てと両立したい」「命のプレッシャーから少し距離を置きたい」という方に、企業看護師という選択肢が一つの答えになるかもしれません。

もちろん向き不向きはあります。でもまず「こんな働き方もある」と知ってほしくてこの記事を書きました。何か参考になれば嬉しいです。

企業看護師の1日でよく聞かれること(FAQ)

Q:残業はどのくらいありますか?

A:私の職場では月平均5〜10時間程度です。健診シーズン(春〜夏)は少し増えますが、病棟のように「終電を気にしながら残業する」ことはほぼありません。19時を超えることは年に数回あるかないかです。

Q:急変対応はゼロですか?

A:ゼロではありませんが、頻度は病棟と比べて格段に少ないです。私が経験したケースは、過呼吸・低血糖・胸痛の訴えなど年に数件。いずれも救急搬送の判断と産業医への連絡が主な対応で、病棟のような「全力で蘇生する」場面はありませんでした。

Q:職場の雰囲気はどうですか?

A:「医療職」ではなく「会社員」として働く雰囲気です。最初は病棟のノリとのギャップに戸惑いました。でもスーツで通勤して、フロアで仕事して、定時に帰る。その当たり前が積み重なると、「普通の社会人」になれた感覚がして、それはそれで新鮮でした。

Q:産業医との関係はどうやって作るの?

A:最初は「どこまで相談していいかわからない」という戸惑いがありました。でも「わからないことはすぐ聞く・情報をこまめに共有する」を続けていたら、半年もしないうちに「何でも言ってね」と言ってもらえるようになりました。信頼関係は時間をかけて作るものです。

「病棟より楽」は本当?率直な感想

「楽」という言葉を使うのに少し抵抗がありますが、正直に言うと——体力的には確実に楽です。夜勤がなく、立ちっぱなしでもなく、緊急対応に追われることもない。

でも「頭を使わない」「考えなくていい」ということでは全くないです。一人で判断する場面が多く、「わからないことを自分で調べ・考え・産業医に相談する」というプロセスを繰り返します。孤独と闘いながら、自分で答えを作っていく感覚です。

「種類の違う大変さがある」という表現が一番近いと思います。病棟の大変さとは違うけれど、企業看護師も決して「ぬるい仕事」ではありません。

転職を考えているあなたへ

「こんな働き方があるんだ」と知ってもらうだけでいいです。この記事を読んで、企業看護師という選択肢が頭の片隅に残ってくれたら嬉しいです。

転職するかどうかは、今すぐ決めなくていいです。でも「どんな求人があるか眺めてみる」くらいなら、今日からできます。私もそこから始めました。

この記事のまとめ

  • 企業看護師の1日は「穏やか」で「計画的」。急変対応に追われることなく仕事できる
  • 昼休み1時間確保・定時退勤が当たり前。病棟との最大の違いのひとつ
  • 暇な日もある。「仕事を自分で作る」主体性が求められる
  • 臨床スキルより「観察・傾聴・判断・記録・連携」という看護の本質的な力が活きる
  • 「夜勤をやめたい・子育てと両立したい・プレッシャーから離れたい」方に向いている働き方

1日の流れをイメージできると、転職への不安が少し減ると思います。求人を眺めるだけでも、新しい景色が見えてくるかもしれません。

ABOUT ME
うさみ
30代、2児ママの看護師です。 「もう看護師辞めたい」と思いながら病棟で夜勤していたところから、ハローワークで偶然見つけた求人で人生が変わりました。 今は企業看護師として夜勤なし・残業ほぼゼロで働いています。 臨床を離れて働く選択肢や、看護師のキャリアについて、正直に発信しています。